ヘルバルトとは
ヘルバルトは、科学としての教育学を初めて構築した人物です。今までの教育論は、教育に関する理論であり、教育に関する学問ではありませんでした。ヘルバルトは、『一般教育学』の中で初めて教育を学問として樹立しました。
ヴェーゼル河畔のオルテンブルクで生まれたヘルバルトは、子どもの頃にヴォルフの哲学やカントの哲学に関心を示しました。イエナ大学に入学後は、フィヒテの思想やギリシア哲学の研究に没頭し彼の哲学的思想の素地を形成しました。
ヘルバルト教育目的
道徳的品性の陶冶
つまり道徳的に立派な人格を育成するということです。
これは、ヘルバルトの主観的品性陶冶に当たります。
ヘルバルトの著書『一般教育学』において、教育を
・教育の目的を倫理学
・教育の方法を心理学
の2つに分けて考えました。
ヘルバルトの教育方法・教育作用
ヘルバルトは、人間関係において必要となる自己主張や、自己規制、素直さなどの客観的品性を陶冶する手段として、訓練、管理、教授の3つを考えました。
訓練:教師が生徒に対して取るべき規定。
管理:振興を妨げる外的障害を取り除く措置。教師の指図を静かに聴くこと。
教授:思想界の陶冶によって意思の根源を構成すること。
ヘルバルトの教授理論
専心と致思
専心:実在としての精神が一定の対象に没頭する作用のこと
致思:専心によって獲得した表彰を反省し統一する作用のこと
ヘルバルトは、この専心と致思に静止的なものと進動的なものの2面をそれぞれ認め、明瞭、連合、系統、方法の4つの段階に区分しました。
四段階教授法
明瞭(静的専心):個々の事物を明瞭に習得する段階
連合(動的専心):一の専心より他の専心に移り、概念の連合を生ずる段階
系統(静的致思):事物の関係を究め、系統を立てる段階
方法(動的致思):系統に基づき新事項を発見し、系統を応用する段階
ヘルバルトは、授業において初めて習う内容についてのイメージが、以上の4段階を経過することによって、道徳的品性が陶冶されることを理想としました。
四段階教授法から五段階教授法へ
ヘルバルトの教授理論は多くの後継者によって継承され、発展していった。
ツィラーは、ヘルバルトの4段階を、分析、総合、系統、方法の5段階教授法に発展させた。
ラインは、ツィラーの5段階教授法を整理し、予備、提示、連結、総括、応用にまとめた。