【エミール】ルソーの教育思想、教育目的、名言のまとめ

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ルソーとは

ジュネーヴ共和国に生まれ、主にフランスで活躍した哲学者、政治哲学者、作曲家です。

子どもの発見者と言われ、「社会における自然人」の形成を目指し、社会、政治、愛情、宗教の3分野で思索を展開しました。とくに、教育の分野では、著作『エミール』を通して、子どもの人格や自由を尊重する立場にたち、子どもの心身の発達に応じた教育を行うべきであると主張しました。また、個人差のあることを認め、その子どもの世界に応じた教育を提唱し、この考え方は消極教育と言われました。このルソー思想はのちに、カントの教育論に多くの影響を及ぼします。

ルソーの教育思想

子どもの発見

ルソーは、『エミール』の序文で次のように述べている。

人は子どもというものを知らない。子どもについて、まちがった観念をもっているので、議論を進めれば進めるほど迷路にはいりこむ。このうえなく賢明な人々でさえ、大人が知らなければならないことに熱中して、子どもには何が学べるかを考えない。かれらは子どものうちに大人を求め、大人になるまえに子どもがどういうものであるかを考えない。・・・とにかく、、まずはなによりもあなたがたの生徒をもっとよく研究することだ。あなたが、生徒を知らないということは。まったく確実なのだから。

『エミール』は教育史上「子どもの発見」の書と称されているが、「子どもの発見」とはどういう意味なのか。

当時、子どもというのは、「一人前」とは見なされていなかった。つまり、完全な人間とは認められこなかったのである。それに、大人は自分が子どものときの見方や価値観を忘れ、大人の立場での考えを子どもに押しつけがちである。子どもは大人よりも弱く、物わかりの悪い存在とされ、子ども時代は早く終わるのが望ましいとされてきたのである。

ルソーは、人間が、最初から完全な姿で生まれてくるのなら、社会の変化も人類の進歩もない。子どもが未熟で未完成な存在として生まれてくるからこそ、教育によって成長し、いまの大人を超えて新しい社会の担い手となることができるのであると述べた。

ルソーの子ども観

発達の段階

エミール』では、主人公エミールの成長に時期に応じて5編に分かれている。

第1編:教育の本質的な条件について。誕生の前後。乳幼児の健康とその他の配慮について。

第2編:人生の第2期。話し、食べ、歩くことができるようになって以後、12、13歳くらいまで。感覚を働かせる時期、快・不快の原理。消極教育。

第3編:子どもの時代の第3期。12,13から15歳くらいまで。好奇心が出てきて、勉強が何のために必要か、有用性を学ぶ時期。

第4編:15歳からの青年期。理性の時期。道徳教育、市民としての教育。幸福、完全性といった抽象的概念を獲得する時期。

第5編:結婚の相手を選ぶ時期。社会的政治的教養を高める時期。

自然の教育

ルソーは教育を3種類に分けている。

①自然の教育

②人間の教育

③事物の教育

自然の教育とは、私たちの能力と器官の内部的発展の教育を指し、人間の教育とは、子どもを取り巻いている人間が子どもに教える教育を指します。ここでの自然教育は、自然現象が人間に与える影響力を指しているのではなく、それは事物の教育に当たります。

ルソーの名言

ルソー
「造物主の手を出るときは、すべてのものが善であるが、人の手に移されるとすべてのものが悪くなってしまう」
ルソー
「人は子どもというものを知らない」
ルソー
「教育は自然か人間か事物によって与えられる。わたしたちの能力と器官の内部的発展は、自然の教育である。」
ルソー
「植物は耕作により、人間は教育によって作られる」
ルソー
「自然にかえれ」

ルソーの代表的な著書・キーワード

『エミール』

『人間不平等起源論』

『民約論』

消極主義

性善説

自然の教育

子どもの発見

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