はじめに
リサーチクエスチョンを立てることができたら、その答えを見つけることが最終目的地となります。
そのクエスチョンの答えは、簡単に見つかるかもしれないし、容易には見つからないかもしれません。やみくもに調べたのでは効率が悪いので、「仮説を立てる」ということをします。
仮説とは
仮説とは、ここではリサーチクエスチョンの暫定的な答えとします。
例えば、「なぜ学力低下が起こるのか」といったリサーチクエスチョンがあったとき、「学力低下は所得の低い親の子どもが成績が悪いから引き起こされる」という答えが思いついたとすれば、これが仮説になります。
そして仮説を立てる際には、2つの要素を満たしていなければなりません。
1つは、検証可能であることです。
仮説は検証できるものでなければなりません。
そして検証するには、明確な言葉で語られる必要があります。
もう1つは、「・・・であるほど、・・・である」という形式になっていることです。
仮説の形式は「XはYの原因である」とか「XはYを引き起こす」と表すことができますが、Xが原因となることを直接確認するのは難しいです。
ですので、「・・・であるほど、・・・である(傾向にある)」といった形式で仮説を表現すると、検証しやすくなります。
ただ、注意点として、「・・・であるほど、・・・である(傾向にある)」という仮説を検証するには、XとYが存在している、Xが存在しないとYも存在しないことも併せて証明する必要があります。詳しくは次で説明します。
因果関係の明示
「・・・であるほど、・・・である(傾向にある)」という仮説が立てられたといしたら、それで因果関係は確認できたことになるのでしょうか。
例えば、こういった仮説があったとします。
仮説:住民リーダーが熱心(原因)であるほど、市民協働が盛んになる(結果)。
独立変数X:住民リーダーが熱心
従属変数Y:市民協働が盛んになる
仮に相関関係が確認できたとしても、Xが原因でYが結果と言い切れるでしょうか。
もしかしたら、「市民協働が盛んになるほど、住民リーダーが熱心になる」かもしれません。
つまり、原因が先行することの確認を行う必要があります。
では、どのようにすればよいのか。
アロー・ダイアグラム
原因が先行することの確認を行う1つの方法として、アロー・ダイアグラムを作成することをおすすめします。
それぞれの変数はどのように関係があるのかをを可視化することで、問題の本質がどこにあるのかを発見することができます。先ほどの仮説(住民リーダーが熱心であるほど、市民協働が盛んになる)でいうと、問題の一部を切り取ったに過ぎないことがわかります。
指標の設定
問題の本質を発見し仮説を立てられたら、検証しなくてはなりません。
検証を行う際に指標を設定することが重要になります。
仮説:町の助成(原因)が多いほど、市民協働が盛んになる(結果)。
この例で言うと、町の助成とはどのように測るのでしょうか。
また、市民協働が盛んになるとはどのように測るのでしょうか。
そこで、定量的に測れる数値で表すことができる指標を設定する必要があります。
「町の助成」であれば、その町のホームページなどで助成金額を調べればいいでしょう。
「市民協働が盛んになる」に関しては、例えば「市が開催する会に参加した住民の数」など、工夫して指標を立てる必要があります。